長谷川栄雅と「日本の美」

2021.01.13

かつての1年の始まりに無病息災を願う「小正月」

1月15日は「小正月」。関西ではこの日までを松の内(お正月を祝う期間)としますが、地域によっては14日から16日の3日間、元日から15日の15日間のことを指す場合もあります。

小正月が1月15日とされているのは、月に由来があるといわれています。かつて月の満ち欠けを1ヶ月の暦の基準としていた日本では、満月となる旧暦1月15日に当たる日を”1年の始まり”として祝っていました。

門松、しめ縄などを飾り付け、年神様をお迎えする元日の「大正月」に対し、小正月では紅白の餅や団子を丸めて木の枝につけた餅花などを飾り、五穀豊穣を祈ります。

当日の朝には、鏡餅に使用したお餅入りの小豆粥を食べる風習があります。この起源は昔、中国で“朱色のものを食べると厄が祓える”といわれていたこと。これが日本にも伝わり、無病息災を願いながら、食べられるようになりました。「小豆粥」「十五日粥」が新年の季語となっていることからは、人々がいかにこの行事を大切にしてきたかが窺えます。

なお、この日は全国各地の神社で「左義長」「どんど焼き」「道祖神祭」などと呼ばれる火祭りが開催され、正月飾り、前年のお札やお守りなどを燃やして、家内安全や無病息災を祈願し、賑やかだったお正月に区切りがつけられます。