2020.12.02
針の労をねぎらう「針供養」
「針供養」とは劣化して使えなくなった針を供養し、裁縫の上達を祈る伝統行事です。一般的に西日本では事納めの12月8日、東日本では事始めの2月8日に行われることが多く、両日行う地域もあります。
この風習が生まれたといわれるのは江戸時代。当時、女性にとって着物などを仕立てる針仕事は貴重な稼業で、針は欠かすことができない大切な道具でした。そのため年に一度、針の労をねぎらい、感謝する習わしが広がったとされています。
供養の仕方は地域ごとに異なり、針を豆腐やこんにゃくに刺し、寺社の針塚に納める方法や、川に流したり、土に埋めたりする方法など、さまざまです。針を柔らかいものに刺す行為には「働き尽くした針に、最後は柔らかい所で休み、成仏してもらいたい」という気持ちが込められています。
針供養は全国各地で行われますが、特に和歌山の淡島神社・淡島神を祀る堂がある寺院で行われることが多く、針供養の日には裁縫の愛好家や服飾系企業の関係者、服飾系専門学校の学生などが和服姿で訪れ、針を一本一本供養する光景が見られます。