長谷川栄雅と「日本の美」

2020.11.25

商売繁盛を祈願する「酉の市」

関東を中心に、11月に三度ある酉の日に開催される「酉の市」。今年は一度目の「一の酉」が2日、二度目の「二の酉」が14日、三度目の「三の酉」が明日26日に行われます。

起源に関しては2つの説が代表的で、一つが東夷征討に向かう日本武尊(やまとたけるのみこと)が浅草の鷲神社で戦勝を祈願し、その後、勝利したお祝いとして社前に武具の熊手をかけたというもの。

もう一つが、江戸時代に農民たちが秋の収穫を祝い、大鷲神社(東京都足立区)に鶏を奉納したのが始まりとするものです。どちらの神社も江戸時代から今日まで酉の市が続けられており、時代の経過と共に商売繁盛や家内安全を願う祭りへと変化しました。

この祭りの象徴が、江戸っ子の間で運や福をかき集めると人気になった「熊手縁起」。七福神・松竹梅・大判小判・打出の小槌・鯛・米俵などが華やかに飾られた縁起物です。また、これを巡り、威勢のいい熊出商とお客さんが値段を駆け引きする「熊手の商談」も見物です。値切った分だけ縁起が良くなるといわれていますが、値切った価格ではなく、最初に聞いた値段で支払い、値切った分を熊手商への「ご祝儀」とするのが粋な買い方とされています。最後に熊手が受け渡されると、お客さんの福を願い、周囲の人たちも含めて三三七拍子の「手締め」が行われます。

鷲神社、花園神社(東京都新宿区)、大國魂神社(東京都府中市)で行われるものが「関東三大酉の市」と呼ばれていますが、全国各地の鷲や鳥にちなんだ神社でも開催され、関西地方では大鳥信仰の総本山である大阪・堺の大鳥神社の酉の市が有名です。