長谷川栄雅と「日本の美」

2020.10.27

秋の夜長を照らす「十三夜(後の月)」

十三夜

旧暦8月15日のお月見を指す「十五夜(中秋の名月)」の1カ月後、旧暦9月に設けられていることから「後の月(のちのつき)」と呼ばれるのが「十三夜」です。

前者が中国から伝わってきたものであるのに対し、後者は日本独自の風習。平安時代に醍醐天皇あるいは宇多天皇が十三夜の月を愛でたことが始まりとされており、十五夜が日本では台風の季節となるため、秋晴れが多い時期にお月見を楽しんだといわれています。

なお、この2つの月を合わせて「二夜の月(ふたよのつき)」と呼び、どちらか一方の月しか見ない「片見月(かたみつき)」は縁起が悪いと伝えられ、古くはそれぞれの月を同じ庭で見る習わしがありました。また言い伝えの中には、十五夜、十三夜、旧暦10月に行われる十日夜(とおかんや)に月を見ることができると縁起が良いというものも。こういった話からは、かつての日本の暮らしが、いかに月と密接に関係していたかが伺えます。

十三夜は栗や豆の収穫時期に当たることから「栗名月(くりめいげつ)」「豆名月(まめめいげつ)」とも呼ばれます。今年の十三夜は10月29日。栗や豆、果物などと共に月見団子をお供えし、豊かな実りに感謝を捧げながら、ゆっくりと夜空を見上げてみてはいかがでしょうか。