2023.04.12
国内外で脚光を浴びる「かるた」
日本の伝統的な遊びとして親しまれている「かるた」は、近年、競技かるたをテーマにした漫画のヒットにより国内外で人気を博しています。今回は日本で独自の発展を遂げ、現在では世界に広がる、かるたに迫ります。
日本とポルトガルの文化が融合
「かるた」が日本に伝来したのは、16世紀頃、ポルトガルの交易船の船員によってもたらされたといわれています。「かるた」とはポルトガル語で「カード」や「手紙」といった意味。この「南蛮かるた」は、ドラゴンや剣などのイラストが描かれたトランプのようなものでした。
元々、日本では平安時代から「貝覆い」という遊びが、貴族の間で行われていました。これは一対の貝の内側に、それぞれ絵や和歌を分けて書き、トランプの神経衰弱のように合わせるといったもの。この遊びと南蛮かるたが融合し、国内初のかるたとなる「天正かるた」が生まれ、現在の姿が形づくられたと考えられています。
なお、天正かるたは広く普及すると共に、賭け事にも利用されるようになったため、18世紀には江戸幕府によって遊戯が禁じられる事態に。そのほとんどが焼かれたり、破棄されたため、現存する天正かるたは芦屋市の「滴翠美術館」に収蔵されている1枚のみとなっています。
かるたの種類
南蛮かるたの伝来以降、かるたは日本で独自の発展を見せました。その中から代表的なものをご紹介します。
1.歌かるた
主に和歌をもとにしたかるたのこと。小倉百人一首をはじめ、伊勢物語や源氏物語などの和歌を題材にしたものが有名です。その他にも、いろは48文字の頭字から始まることわざを使った「いろはかるた」など、多種多様な歌かるたが生まれました。
2.絵かるた
2枚を合わせて、1つの絵柄にする絵合わせかるた。江戸時代後期には動植物や歴史、地理などを伝えるものが誕生し、知識を広く伝える手段としての側面も。シンプルに絵柄で合わせるためわかりやすく、幼い子どもでも楽しむことができます。
3.花札
意外ですが花札もかるたの一種で、「花かるた」とも呼ばれます。この遊びでは、花鳥風月の絵柄を合わせて点数を競い、駆け引きや戦略、運などが試され、無視するという意味の「シカト」や「買って出る」「ピカイチ」という言葉は花札が語源です。
漫画の影響で海外でもブームに
日本の伝統的な遊びのかるたですが、近年では漫画『ちはやふる』の影響から若い世代を中心に競技カルタが盛んになっています。
また、同作は海外でも人気のため、アメリカや中国、ヨーロッパなど、日本語がわからない人たちの間でも、かるたがブームに。漫画の舞台として聖地になっている滋賀県大津市の近江神宮では世界大会が開かれるなど、かるたが日本文化に興味を持つきっかけの一つとなっています。