長谷川栄雅と「日本の美」

2022.03.04

東西で味や形が異なる「桜餅」

その鮮やかな色合いと、桜の葉の爽やかな香りに春の足音を感じる「桜餅」。雛菓子の一つで、春の季語にもなっている桜餅ですが、関東風と関西風があることをご存知でしょうか。
関東風は「長命寺餅」と呼ばれ、生地は小麦粉などを薄くのばして焼き、こしあんを包んだもの。江戸時代、隅田川沿いの長命寺で門番をしていた山元新六が、大量に落ちる桜の葉に頭を悩ませ、塩漬けにして餅を包んだところ、大変美味しかったため門前で売り始めたのが発祥とされています。
この長命寺を参考にして、京都や大阪で作られたといわれているのが関西風の「道明寺餅」。生地にもち米の食感を残した道明寺粉を使い、つぶあんを包んで蒸した丸い形が特徴です。
なお、塩漬けされた桜の葉は、餅の香り付けや、あんの甘さを引き立てるだけではなく、抗菌作用もあるといわれています。