長谷川栄雅と「日本の美」

2022.02.26

燗酒の味わいを深める「徳利」

燗酒に欠かせないのが「徳利」です。徳利は室町時代後期に誕生したと伝えられ、お酒を神様に供えるための瓶子(へいし)が、鎌倉時代頃までに変化したものといわれています。
その独特の響きの語源は、朝鮮語で酒壷という意味の「トックール」、また酒を注ぐときの「トクトク」という音を元に作られたなど諸説あります。
古くは1升から3升ほどの大きさで、お酒以外にも醤油や油、穀物などの貯蔵・運搬に使用されており、現在のようにそのまま湯煎して注ぐことができる1、2合入りの徳利が登場したのは江戸時代中頃。酒を燗して飲む風習が広まったためで、その後は落語の作品にも数多く取り入れられるなど、徳利は生活に身近な道具となっていきました。