長谷川栄雅と「日本の美」

2021.11.27

元々は神器だった「箸」

日本人が、日々の食事に当たり前のように使っている「箸」。日本に中国から箸が伝来したのは、3世紀の弥生時代から7世紀の飛鳥時代頃と推定され、当初は食事を食べるためのものではなく、神様へのお供え物を手で触らないようにするために使われていました。形も現在とは異なり、竹製のピンセットのようなものだったと考えられています。
奈良時代になると、遣隋使が現地で箸を使った食事のもてなしを受けたことから、日本でも食事に用いられるようになり、平城京跡からは木を削った箸が出土しています。また、平安時代の絵巻にも箸が描かれ、鎌倉時代には漆を塗った箸が登場し、繰り返し使用できるようになりました。
その後、食の多様化に伴って箸は発展し、江戸時代には割り箸も誕生。ほぼ現代と同じ箸文化が定着しました。ちなみに自分専用の箸を持つ習慣があるのは日本だけ。物を大切にする日本人の心が表れているのかもしれません。