長谷川栄雅と「日本の美」

2021.10.01

気持ちを和らげてくれる「お香」

気分転換や仏事、防虫など、日本人になじみ深い「お香」には香木、線香、練香など、古くからさまざまな種類があります。奈良時代に完成した『日本書紀』には淡路島に流れ着いた香木が朝廷に献上された記録が残り、平安時代には『枕草子』や『源氏物語』にお香の記述が見られます。また、この頃には草木などを原料とした香料を練り合わせて丸薬状にしたお香が貴族に好まれ、その香りを部屋や衣服へ移して楽しむなど、すでに現在のように使われていました。

武家社会が隆盛した室町時代には、いけばなや茶の湯と共にお香も発展し、香木をかぎ分ける「闘香」が上流階級の間で流行。江戸時代には商人にもお香が広がり、日本特有の「香道」の文化が確立されていきます。

気軽に外出できない日々が続きますが、お気に入りの香りで気持ちをリフレッシュしてみてはいかがでしょう。