長谷川栄雅と「日本の美」

2021.09.24

疲れた体に嬉しい「薬味」

食材の風味を増すだけではなく、食欲増進や消化を助ける効果もある「薬味」。これは「加薬味」という言葉の略で、古代中国で生姜や山椒、辛子などを漢方薬に加えたことに由来します。日本では『古事記』の中に生姜や山椒などを指す「はじかみ」の記述が見られ、さらにそれ以前から山椒やわさびなどが自生していたと考えられています。

平安時代には生姜で肉の臭みを抑えたり、汁物に柑橘類の香りを加えるなど料理に使われるようになりました。そして、薬味が大きく発展したのが江戸時代。わさびも本格的に栽培されるようになり、刺身やそばに添えられるように。その後、明治時代以降には洋食化が進んだことから、日本古来の薬味に加え、胡椒など海外原産のものも広く好まれるようになりました。