長谷川栄雅と「日本の美」

2021.09.08

日本の秋の花「菊」

秋に花盛りを迎える「菊」。平安時代に中国から伝わったと考えられており、この時代に書かれた『類聚国史(るいじゅこくし)』には桓武天皇が詠んだ歌の中に菊が登場します。この頃は主に観賞用や漢方薬として、貴族の間で愛されていました。

江戸時代になると庶民の間でも園芸が楽しまれるようになったことから菊の品種改良が進み、日本独自の形への進化が始まりました。また芸術としても人気が高まり、浮世絵や歌舞伎の作品などにも登場。さらに江戸幕府が9月9日を「重陽の節句(菊の節句)」と定めたことから、秋の花として広く浸透しました。

その後、日本の菊は海外にも輸出され、イギリスではその美しさが話題に。西洋のガーデニングにも大きな影響を与えたといわれています。

今年の「重陽の節句」には菊の花を観賞したり、菊酒を味わい、長寿を願ってみてはいかがでしょうか。