2021.08.27
和の美しさを海外へ広めた「扇子」
「扇子」の始まりは、平安時代初期に誕生した「桧扇(ひおうぎ)」。これは儀式などを記録した細長い木片を一つに束ねた「木簡(もっかん)」から派生したものといわれています。当時は扇面の片面しか紙が貼られておらず、貴族や僧侶のみが使用を許されていました。
鎌倉時代になり僧侶によって扇子が中国に持ち込まれると、現地で扇面の両面に紙が貼られた「唐扇子」が作られ、室町時代には日本でも両面に紙が貼られるように。また庶民の使用が許可され、能・演劇・茶道などにも広く取り入れられました。
現在の扇子の原型が誕生したのは江戸時代。中国から団扇が伝来したことがきっかけでした。その後、日本産の扇子はシルクロードを通ってヨーロッパにまで伝わり、フランスでは絹や象牙、鳥の羽根を使用した豪華な扇子が作られるなど海外でも評判に。大正時代後期以降、輸出されることは少なくなりましたが、その造形と仕草で和の美しさを感じさせる扇子は、現在でも日本のお土産として人気です。