長谷川栄雅と「日本の美」

2021.08.20

江戸時代から愛される「とうもろこし」

夏の美味のひとつ「とうもろこし」。原産地はメキシコやボリビアなどの中南米付近とする説が有力で、5,500年から7,500年前に誕生したといわれています。

日本には16世紀、ポルトガル人によって長崎に持ち込まれました。唐の「もろこし」という植物に似ていたことから「とうもろこし」、また南蛮船で運ばれたため「なんばんきび」などと呼ばれ、九州や四国で栽培が始まり、その後、中国地方、近畿、東海、関東周辺へ北上し、水田や畑が少ない地域では貴重な食糧となりました。

その頃に栽培されていた品種は実が硬いフリントコーンと呼ばれるもので、現在のように実が柔らかく、甘いとうもろこしが登場したのは明治時代初期。北海道農事試験場が北海道開拓に伴い、アメリカからスイートコーンの品種を導入したのが始まりで、終戦後にはさらに糖度の高い品種が続々と登場したことから一躍人気に。全国でとうもろこしの栽培が盛んに行われるようになり、夏の風物詩として広く愛されるようになりました。