長谷川栄雅と「日本の美」

2021.05.14

生活を豊かにする「ガラス」

暖かい日が多くなり、冷酒が美味しい季節となりました。涼やかなガラスの酒器に注ぐと、より味わい深くいただけます。

ガラスには長い歴史があり、日本に最初に入ってきたのは弥生時代。シルクロードや海を渡って、ガラスのまが玉が伝来してきたと考えられています。その後、飛鳥・奈良時代には日本でも鉛ガラスのまが玉などが作られるようになり、祭事の際に使用されていました。

戦国時代には、ガラスが生活道具として用いられるようになります。1549年にキリスト教の宣教師フランシスコ・ザビエルの来日時、西洋のガラス製品が持ち込まれたことがきっかけでした。その後、江戸時代になると高度な製造技術が西洋から伝わり、長崎や大阪を中心にガラス作りが盛んに。それらの和ガラスは「びいどろ」と呼ばれ、杯や鉢などが人気を集めました。

明治・大正時代には技術の進歩によってガラスが大量生産され、昭和になると美術工芸品としても、その価値を認められました。また、青森の津軽びいどろや沖縄の琉球ガラスなど、各地の歴史や風土に根付いたガラス製品が誕生し、個性的な魅力を放っています。