2021.04.08
自然を愛でながら茶の湯の世界に浸る「野点」
春になると、茶道の世界では屋外でお茶を点てる「野点」が催されます。この茶会の魅力は美しい自然を愛でながら、気軽にお茶を楽しめること。野点では屋内の茶会で重視される伝統的な作法を簡略化して行われることが多く、茶の湯の心得がない方でも寛ぎながらお茶をいただくことができます。
茶聖(ちゃせい)・千利休が確立した佗茶について書かれた『南方録』によって伝えられる野点の始まりは1587年の「箱崎茶会」。これは豊臣秀吉の九州平定に同行した千利休が箱崎の松原(現在の福岡市東区)で開いた茶会で、この際に湯を沸かすための燃料とされた松葉の芳香が茶会に豊かな風情をもたらしたといわれています。
現在では、全国各地の寺社や公園で野点が催されます。ぜひ、自然の開放的な雰囲気の中で、ゆっくりと一服を味わってみてはいかがでしょうか。