長谷川栄雅と「日本の美」

2021.01.21

悠久の時を経て愛される「独楽(こま)」

おめでたい1年の始まりに、お金や物事が円滑に回るようにと願いを込める縁起物「独楽」。

独楽は、古くから世界各地にあり、最古の独楽は、紀元前2000年~1400年に建てられたエジプトの遺跡から発掘された物。日本では飛鳥時代7世紀頃に建てられた藤原京跡から発掘された物が最も古く、奈良時代から平安時代にかけては、宮中の占いや貴族の遊びに使用されました。

平安時代中期に作られた辞書『和名類聚抄』には「古末都玖利(こまつぐり)」の文字が残っています。元々、日本では独楽のことを「つぐり」「つむぐり」などと呼んでいました。これは素材に使った貝殻、円形を意味する「つぶり」が変化したものと考えられており、「こま」という言葉は、古代朝鮮の高麗(こま)から伝った独楽に由来するといわれています。

江戸時代になると独楽は庶民にも広がり、明治、大正時代以降には鉄製の物が作られました。さらに戦後には駄菓子屋の定番商品となり、人気の玩具に。平成にはベーゴマを現代風に進化させた玩具が流行するなど、時代にあわせてその形を変えながら、子どもたちに愛されています。